KBS京都で放送中の『谷口流々』。
谷口キヨコが、京都を中心に活躍する人々の仕事現場に足を運び、十人十色の人生哲学を紐解いていきます。
2023年6月24日(土)の放送では、義肢装具士・益川恒平さんに話を伺いました。
Profile:義肢装具士・益川恒平さん
義肢装具士・益川恒平さんは、子どもを専門に障がい者の歩行を支える装具店『ゆめ工房』を営んでいます。体のケアにとどまらず、保護者の不安を取り除き生活全般のサポートをすることを目指しています。
実際に、棚に並ぶ装具を見せてもらいました。『ゆめ工房』は子ども専用の装具店ですので、並んでいるのは小さなサイズの装具ばかり。
障がいのある子どもたちは来店するのも大変なので、関西一円の医療機関・福祉施設に出張して採型などを行います。
人の役に立ちたい
高校卒業後、なんとなく大学に進学するということに違和感を覚えたという益川さん。何も持たずに家を飛び出し、しばらくアルバイトなどをしながら過ごしました。
将来について考える中で、「何か人の役に立つような仕事をしたい」と思うようになり、両親に相談したところ、義肢装具士の仕事を勧められます。フリーターから義肢装具士養成校の学生になり、生活は一変。必死の勉強の末、無事に国家資格を取得し卒業しました。
益川さんは在学中に見学に訪れた京都市内の会社で、一際オーラを放つ、子ども専門の義肢装具士に出会いました。その人を見た時に、稲妻が走ったかのように衝撃を受け、「この人すごいな! この人に弟子入りしたい」と思ったそうです。
師匠の言葉
弟子入りしてから5年ほどは、“削る”・“熱加工をする”など、ひたすら同じ作業を繰り返す日々でした。師匠からの細かい指導に、最初は「何を言うてんねん、同じやん。これで別にええやん」と疑問を感じていたという益川さん。
しかし、師匠からユーザーを引き継ぐようになると、「前の方はこんなんじゃなかった。あなたはきちんと見ていない」と、厳しい意見をもらいました。
そのことから、“ものではなくその人とどう向き合っているか”という点が、師匠と自分では全く違っていたのだと気が付きます。義肢装具をただ作って渡すだけではなく、ユーザーがどんな環境でそれを使うのかというところまで考えることが大切だと思い知った出来事でした。
「師匠のように、義肢装具作りを極めたい。子どもたちのためだけの義肢装具を作りたい」と思った益川さんは、小さなテナントを借りて『ゆめ工房』を設立します。
ゆめ工房の夢
『ゆめ工房』のコンセプトには“子どもの味方”・“子どもたちの夢を叶える”を掲げ、義肢装具を作ることだけではなく、障がいのある子どもたちにしてあげられることを他にもどんどんやっていこうと考えました。
マイノリティである障がいのある子どもやその家族が、どうしても周囲から孤立しやすいという問題を解決できないかと考えた益川さんは、『ゆめ工房』が商店街の中にあることに目を付けます。
商店街は買い物をするだけではなく、お店の人とお客さんとの何気ない会話など、人と人とが繋がりを感じられる場所。「商店街というフィールドが、マイノリティの人たちにもそういった幸せを感じてもらえる場所になれば」と“インクルーシブな商店街”作りを目指しています。
益川さんは積極的に商店街でのイベントなどを開催しています。
益川さんを表すことば
今回の“益川さんを表すことば”は『人から学ぶ』。師匠やユーザーから様々なことを学んでそれを実にしてきた益川さん。
その実が、これからのまちづくりをさらに盛り上げてくれるのが楽しみですね。
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文/ななえ
【画像・参考】谷口流々(毎週土曜日9:30~10:00) – KBS京都
※この記事は、2023年6月24日(土)放送時点の情報です。最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。