KBS京都で放送中の『谷口流々』。
谷口キヨコが、京都を中心に活躍する人々の仕事現場に足を運び、十人十色の人生哲学を紐解いていきます。
2023年9月2日(土)の放送では、バイク用品メーカーの会長・世古口享さんに話を伺いました。
Profile:バイク用品メーカー会長・世古口享さん
山科にある老舗バイク用品メーカー『デグナー』会長の世古口享さん。
“革は直して使うもの”をポリシーに、主に革製品の製造・販売・修理を行っています。
「デグナー」とはどんなお店?
山科に本社を置くバイク用品の製造メーカーである『デグナー』。
革ジャンや革のバッグ、バイクウェアなど、バイク用品を製造しているメーカーです。
9割が自社のオリジナル製品というこちらでは、比較的リーズナブルに購入してもらえるよう企業努力をしています。
「革にもっと親しんでもらいたい。特に、バイクに乗っているお客さんには安全面もしっかりと。革で体を守ってもらおうということでプロテクションを入れたり、着心地のよい革を使ったり、色々な革を厳選したりして製造しています。もちろんデザインにもこだわっています。」と、世古口さんは語ります。
「かっこよく、安全に走ってもらいたい。楽しんでもらって、良い人生の足しにしてもらえれば」。そんな想いでお仕事をされているそうです。
こちらの革ジャンには、西陣の織物屋さんに作ってもらっている金襴の織物を裏地に使用。
着るときや脱ぐときにチラリと見える裏地が目を引く、おしゃれなデザインです。
こちらでは、レーシングスーツのオーダーや修理を行っています。自社で製造した商品以外の修理も受けていて、まさに“駆け込み寺”のような役割を担っているのだそう。
レーシングスーツから
世古口さんは、もともと電子部品の製造メーカーで6年間営業として働いていました。
その後1987年に脱サラし、小さなお店を借りて若いスタッフを1人だけ雇い起業します。
バイクレースが趣味だったという世古口さん。プロではありませんが選手権に度々出場し、自身のライセンスが上がっていくことに楽しさを覚えていました。
趣味を通じて知り合ったレーシングスーツを作っている友人から「やってみないか?」と言われ、京都でお店の立ち上げを決意したと言います。
レーシングスーツの修理には通常1〜2か月ほどの長い時間がかかりますが、世古口さんは1週間で修理するサービスを始めました。
レーシングスーツは破れたりほつれたりと試合のたびに消耗するため、修理に需要があることは身を持って知っていた世古口さん。駆け込み寺として利用する人や、オーダー品の着心地の良さが口コミで広まったことによって、だんだんと仕事が増えていきました。
ツーリングライダーのために
仕事を始めるときにバイクレースは引退した世古口さんですが、現在もツーリングが趣味。以前までは『ドゥカティ』などレース向きのバイクばかりに乗っていましたが、2000年頃に初めてハーレーを購入しました。
ハーレーを購入し、鞄や革ジャンが欲しくなった世古口さんは、ハーレーに似合う商品を新たに開発することに。アメリカのハーレーのイベントを見にいくなどして研究し、ツーリングライダーのための商品もどんどん展開していきました。
世古口さんだけでなく、従業員もバイク乗りが多いという同社。みんなで困りごとやアイデアを出し合って、新しい商品を企画・開発しているそうです。
創業イズムを大切に
どんな製品でも修理やメンテナンスサービスを行っていると話す世古口さん。レーシングスーツの修理から始まった創業当初の想いを忘れずに会社を発展させていっています。
人生の趣味を手助けできるこの仕事をしていてよかったと、世古口さんは日々感じているのだそう。
そして、忘れてはいけないのが安全面。例えばこちらの革ジャンにも身体を守るプロテクションが入っています。長くバイクを楽しんでもらうためには怪我を防ぐことも重要だということですね。
世古口さんを表すことば
今回の“世古口さんを表すことば”は、『経営者の前にバイク野郎』です。
自身が“バイク野郎”であるからこそバイクに乗っている人の気持ちがわかり、魅力的なサービスや商品を提供できる。そんな意味が込められています。
世古口さんのバイクに対する愛情がたっぷり伝わりました! 思い入れのあるバイク用品も、バイク愛に溢れた『デグナー』になら安心して修理を任せられそうですね。
文/中村ゆか
【画像・参考】谷口流々(毎週土曜日9:30~10:00) – KBS京都
※この記事は、2023年9月2日(土)放送時点の情報です。最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。