祇園白川沿いの風情ある場所にたたずむ料理旅館白梅。老舗の格式、きめ細やかなおもてなしで、国内外から高い評価を得ています。
その人気旅館の女将から見る祇園の景色を『きょうとくらす』で毎月1回、コラムでお届けします。

南座の顔見世興行のまねきに師走を感じる季節になりました。
映画「国宝」の大ヒットで歌舞伎に興味を持つ方が増え、顔見世も満員御礼の活気ぶり。
多くの人が足を運んでいるようです。
今回は、修学旅行の思い出とともに京都で過ごす旅の楽しさについてお話します。
みやこの修学旅行
この秋は万博のラストスパート、紅葉シーズンと京都市内の10月のホテルの平均客室稼働率はコロナ禍以降初めて90%を超えたそうです。
12月に入り、インバウンドの団体旅行のにぎわいがひと段落。
そんな中、目立つのが修学旅行生の姿です。「今頃?」と思われる方もおられるかもしれませんが、
春と秋は宿泊費が高騰している京都にはなかなか来られず、さらに、北陸新幹線の開通で東京から直通で金沢へ行けるということもあり、京都を訪れる修学旅行者数は減少気味だとか。
12月は混雑も少なく、宿泊費も抑えられるとあって、この時期の京都は修学旅行には人気があるそうです。
私たちの頃、修学旅行といえば小学生では伊勢へ一泊旅行でした。
伊勢神宮に二見ヶ浦、真珠島で海女さんの実演を見てと盛りだくさんの行程。二見ヶ浦の旅館では大部屋に女子8人の雑魚寝でしたが、親元を離れて友人たちと一緒に過ごすことが嬉しく、寝るどころではなく21時の就寝時間を過ぎても布団の中でひそひそ、クスクス…。
22時頃、先生が見回りに来られて部屋の外から一言「みんな寝てるか?」と声をかけた瞬間、なぜか私の友人が元気よく「はい、寝てます!」と返事してしまい、しっかり怒られたのも懐かしい思い出です。
旅行中のお小遣いは1,000円。予算内でやりくりは大変でしたが、限られたお小遣いのなかで母にお土産で買った小さな真珠は思い出箱に大切にしています。
最近の修学旅行は、私学だと北海道や沖縄、韓国など海外も選択肢に入れて生徒に決めさせる学校もあると聞きます。少子化の影響で、学校も存続にかけて他校と差別化が必要になり、生徒に選んでもらうための魅力づくりに余念がないようです。
京都では3~4人でタクシーを貸し切り、運転手さんに京都を案内してもらっている修学旅行生をよく見かけます。先生は同行せず、ガイドを兼ねた運転手さんと希望の観光地を廻るので学生さんに人気なのだとか。先日、タクシーに乗った際も運転手さんが「昨日は修学旅行生をアテンドしてね。」と話してくれました。
最近では、観光地や名所旧跡を見て回るだけでなく、体験型の修学旅行もよく見かけます。
例えば、みんなで着物を着て茶道や華道体験をするなど、「日本の伝統的な仕事を研究する」というテーマで旅館にインタビューに来られる学校もありました。清水寺で「外国人にアンケートしてみよう」というアクティビティもあるようで、うちのお客様も小学生に「どこから来ましたか?」、「好きな日本の食べ物は何ですか?」など一生懸命に英語で尋ねられたそうです。その姿が印象的で、お土産に折鶴まで貰い大変喜ばれていました。
京都を訪れた方に「京都、楽しかった。」と感じていただくことが、大人になってからまた京都に訪れようと思っていただくきっかけになります。京都は大人になればなるほど楽しい街で、何層にも重なった美が少しずつ姿を現し、見えたと思ったらまたその奥にあるような…。「京都はえらいべっぴんさんやけど、なかなかほんまを見せてくれへん。そこが夢中になる理由や。」と以前、お客様に言われたことがあります。その奥に隠された歴史や心意気に触れるほど京都という街は人を惹きつけます。
皆さんもどうぞ京都へ、そして祇園へ“大人の修学旅行”へおこしやす。
奥田朋子(おくだ ともこ)/料理旅館白梅 女将
1965年京都生まれ。1989年全日本空輸株式会社にCAとして入社。
1997年より若女将として、2017年より女将として料理旅館白梅を経営し、2017年より祇園新橋景観づくり協議会会長として京都、祇園の街づくり活動にも積極的に参加している。
文/奥田朋子
【画像】料理旅館白梅
