KBS京都で放送中の『京都画報』。
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今回は、2023年6月6日(火)の放送から、女性初の截金師(きりかねし)・松久真やさんをご紹介します。
「截金(きりかね)」とは?
仏師が彫った仏像には専門の技術者が美しい装飾を施します。
中でも『截金(きりかね)』と呼ばれる技は、古くから仏像装飾に使われている伝統技法です。
細く切った金箔で模様を描くこの技は、6世紀頃日本に伝わったと言われています。
截金の第一人者・松久真やさん
仏像彫刻の工房『松久宗琳佛所(まつひさそうりんぶっしょ)』1階にある彩色の作業場。ここに截金の第一人者がいます。
京仏師・松久佳遊(まつひさかゆう)さんの姉、松久真や(まや)さんです。父・宗琳(そうりん)さんの代から工房の截金を手がけています。
截金とは一体どういった技法なのでしょうか?
竹を使って金箔を0.3mmや0.2mmの細さに押し切ります。髪の毛くらいの細さのものを操っていくのが截金師の技です。
筆を使って細い金箔を1本ずつ貼り付けていく姿はまさに熟練の技。頼りにするのは長年の経験で培った自分の感覚です。
簡単にあたりを取るだけで、線を引くなどの下書きはせず作業します。下書きの鉛筆の線よりも金箔が細い場合があり、仕上がりが汚くなってしまうからなのだそうです。
男性社会の中で伝わってきた技法のため、截金師に女性はいなかったと言います。真やさんは截金師の作業を直で見る機会に恵まれ、見よう見真似で技を覚えていきました。
かつては秘伝とされ、長い間限られた人しか身に付けることができなかった截金の技。真やさんは歴史上初めて生まれた女性截金師です。
截金の伝統を残そうと、若いスタッフたちに惜しみなくその技術を伝えています。
截金を身近に感じる民芸品「蓮形香合(はすがたこうごう)」
截金を知ってもらおうと続けている取り組みがあります。截金を施した美術民芸品『蓮形香合(はすがたこうごう)』の製作です。
自分の手の中に収まることで截金の細かさを実感することができます。
截金は仏像に施すのが1番美しいと考える真やさん。しかし、仏像は安置されると触れる機会がなかなかありません。
手に取って截金を身近に感じてもらうことが理想だと思い、『蓮形香合』の製作を続けています。
真やさんが広げた截金の裾野。そして惜しみなく技術を伝える姿からは、伝統を受け継ぐ人の強い志を感じます。
【詳細情報】
松久宗琳佛所
住所:京都府京都市中京区御幸町通三条下ル
松久真やさんの妹、仏師・松久佳遊さんはこちらでご紹介!(関連記事)
今回ご紹介した截金のように、日本の素晴らしい伝統技術が性別関係なく後世の人々に継承されていくと良いですね。
文/中村ゆか
【画像・参考】京都画報(毎月第1火曜日 20:00~20:55) – KBS京都
※この記事は、2023年6月6日(火)放送時点の情報です。詳しくは店舗へお問い合わせください。