KBS京都で放送中の『京都浪漫~悠久の物語~』。
2023年10月1日(日)に放送された『京都 花ごよみ~妙蓮寺・楊谷寺・勝林寺・八大神社~』から、“勝林寺”についてご紹介します。
美しい庭園を持つ“東福寺の毘沙門天”「勝林寺」
今回は、京都市東山区にある『勝林寺』をご紹介します。
勝林寺までは、京阪電車『東福寺』駅、もしくはJR奈良線の『東福寺』駅から徒歩およそ8分。市バス『東福寺』のバス停からは、徒歩およそ6分です。
勝林寺は、臨済宗東福寺派の大本山・東福寺の塔頭寺院のひとつ。
天文19年(1550年)に東福寺・第205世住持の高岳令松(こうがくれいしょう)禅師により創建されました。
本堂は、勝林寺の大檀那(おおだんな)であった近衛家の大玄関を移築したものと伝わります。
東福寺の鬼門にあたる北側に位置し、北方の守護神として知られる毘沙門天を本尊として祀ることから“東福寺の毘沙門天”とも呼ばれてきました。
本尊の毘沙門天王像は秘仏。普段は目にすることができませんが、今回特別に撮影させていただきました。像の高さは145.7センチと、ほぼ等身大。制作年代は平安時代中期、10世紀頃と考えられています。
毘沙門天王像の右側には、毘沙門天の妃とされる吉祥天像(きっしょうてんぞう)。美と幸福を司る神とされており、花街、祇園の舞妓さんたちが参拝に訪れるなど、多くの女性の信仰を集めてきました。
左側に安置されるのは、毘沙門天と吉祥天の子とされる善膩師童子像(ぜんにしどうじぞう)。この三尊を一同に拝めば、一家の和合、子授け、子育て、夫婦円満に御利益があるといわれています。
本堂を囲む庭園は、四季折々の豊かな表情が醍醐味。季節を感じさせる美しい花々が、庭のあちらこちらに咲き誇ります。
秋は、その美しさから吉祥天が宿ると伝わる『吉祥紅葉』が、
春には、後桜町天皇が御参拝に来られた時に植樹された『皇桜(すめらぎざくら)』が参拝者の目を楽しませてくれます。
ボリュームたっぷり♡ 勝林寺の豪華な花手水
そんな勝林寺で、いま人気なのが手水舎を彩る花手水。
最初は1〜2輪の花を浮かべていただけでしたが、参拝者の喜ぶ声を多く聞き、それに応えるように花の本数が次第に増えていったそうです。
週に2回、火曜日と土曜日の早朝、住職自らが花を生けておられます。勝林寺の花手水はコロナ禍を機に全国の神社仏閣に花手水が広まるよりも以前からだと、住職に伺いました。
勝林寺の花手水は立体的なのが特徴。まるで華道の“立花”のように、花の持つ個性を活かした造形となっています。
境内に入り、手と口を清めるためにまず立ち寄るのが手水舎。そのときにこの花手水が目に入ると、ただただキレイだという感情が芽生えます。その心には迷いや曇り、汚れは一切ありません。
自分自身の素直な心に触れるきっかけになればと、住職は花手水を続けているそうです。
季節ごとの御朱印や見開き御朱印帳も人気
もうひとつ、参拝者に人気なのが御朱印の授与。
季節ごとに様々な御朱印帳が用意され、時間が合えば住職がその場で手書きしたものを頂くこともできます。
見開きの御朱印帳は勝林寺が発祥です。
四季それぞれの花の美しさに出会える禅寺の勝林寺で、心癒される静かな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
文/中村ゆか
【画像・参考】京都浪漫~悠久の物語~(第1・2週 日曜日 21:00~21:55/再放送 第3・4週 日曜日 21:00~21:55) – KBS京都
※この記事は2023年10月1日(日)放送時点の情報です。