KBS京都で放送中の『京都浪漫~悠久の物語~』。
今回は、2023年12月3日(日)に放送された『天才武将に思いを馳せる旅~長岡天満宮・桂林寺・天授庵・舞鶴公園~』から『天授庵』をご紹介します。
幽斎の援助により再興された「南禅寺」
南禅寺の境内にある塔頭寺院・天授庵は応仁の乱などで建物の多くを焼失し荒廃していましたが、細川幽斎の援助により再興されました。
今もお寺には、徳川家康のブレーンとして“黒衣(こくえ)の宰相”の異名を持った南禅寺の僧侶・金地院崇伝が賛を寄せた幽斎の肖像画と、正室・麝香(じゃこう)の肖像画が伝わっています。
天授庵までは、地下鉄東西線『蹴上』駅から徒歩およそ7分。『南禅寺・永観堂道』のバス停からは徒歩およそ10分です。
幽斎が眠る「天授庵」
天授庵は、南北朝時代のはじめ、南禅寺の開山・大明国師を祀るため、第15世南禅寺住持・虎関師錬(こかんしれん)により創建されました。
正面にある庫裏の入口より奥、天授庵の建物の内部はすべて非公開になっています。座敷には上がれませんが、庭巡りを楽しむことができます。
庫裏の左から順路に沿って進むと、見えてくるのが方丈です。幽斎が再建した当時の建物で、天授庵の本堂にあたります。
このお寺の見どころとなっているのが、方丈を囲むように広がる枯山水庭園です。
白砂と苔、そして楓のコントラストが美しく、菱形をした畳石が印象的に配置されています。
天授庵は南禅寺の中でも屈指の紅葉スポットになっています。少し早めに見頃を迎えることもあり、南禅寺の広い境内でもひときわ目を引く存在となります。
方丈から奥に進むと書院が見えてきます。
周りに広がる『南庭』は、南北朝時代の池泉回遊式庭園。およそ1,000坪の敷地内を池の周囲に沿って散策することができます。
通常非公開の建物内部に特別にカメラを入れさせていただきました。
方丈には、本尊である南禅寺開山・大明国師の木像が安置されています。大明国師のおくり名で知られる無関普門禅師(むかんふもんぜんじ)は、京都の東福寺で住職を務めていた頃、亀山上皇の離宮に出没する妖怪を退治した功により、南禅寺を開きました。
2023年5月、天授庵に奉納されたのが細川幽斎の直系子孫である細川護熙元総理の筆による襖絵『赤壁舟遊図』です。
※非公開
中国の詩人・蘇軾(そしょく)が、三国志の赤壁の戦いを回想して詠んだ『赤壁賦(せきへきふ)』を題材に、そそり立つ赤壁や川面に浮かぶ小舟などが詳細に描かれています。
田辺城の戦いから2年後に書院も幽斎が復興しました。建物は江戸時代後期に再建されていますが、前に広がる庭の地割は創建当時のものと考えられています。
京都で最晩年を過ごした細川幽斎は、慶長15年(1610年)に永眠しました。享年77でした。当時としては異例ともいえる長寿をまっとうしました。
今は、幽斎が生涯寄り添った妻・麝香とともに、天授庵の墓所で静かに眠っています。
※墓所は公開していません。
幽斎の足跡を辿りながら、京都を巡ってみてはいかがでしょうか。
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文/西門
【画像・参考】京都浪漫~悠久の物語~(第1・2週 日曜日 21:00~21:55/再放送 第3・4週 日曜日 21:00~21:55) – KBS京都
※この記事は、2023年12月3日(日)放送時点の情報です。