入学や進学のシーズンが到来し、さまざまな出費を実感している人も多いのでは。子どもの成長はとてもうれしい反面、「これからの教育費の負担が気になる……」という声も聞こえてきそうです。
少子化が進む中、政府はその対策として『こども未来戦略』を決定し、さまざまな支援制度が打ち出されました。どんな制度があるのかを知り、これからの教育資金設計を考えていきたいですね。
今回は、ファイナンシャルプランナーである筆者が、今後始まる予定の子育て支援制度について分かりやすく解説します!
児童手当が手厚く!
子育て世代にとって、経済的にインパクトが大きいのが『児童手当』の支給。2024年10月から、この児童手当が拡充される見込みです。具体的には、現在は中学卒業まで支給されているのを高校卒業まで延長し、所得制限も撤廃されることに。
また、第三子以降は0歳から18歳まで、月3万円が支給される形へと変わります。なお、第三子の加算にカウントされる“子ども”は、現在の18歳年度末から22歳年度末まで伸びる予定です。
これは全ての子育て世帯にとって、プラスとなるニュース。また、これまで年収が高くて『児童手当』が受けられなかった世帯にとっても、とてもありがたい改正といえそうです。なお、手当の支給回数も現在の年3回から6回へと変わります。支給が手厚くなった分は、子どもの将来のために確実に貯蓄するよう心がけたいですね。
大学などの授業料無償化
さらに、扶養しなければならない子どもが三人以上子どもがいる“多子世帯”にとってうれしい制度が、2025年度よりスタートする予定です。具体的には、多子世帯に該当すると所得制限なく大学や短期大学、高等専門学校の授業料や入学金が実質無償化されるというもの。授業料免除の上限額は、国公立大学で年間約54万円、私立大学で年間約70万円、入学金免除の上限額は国公立大学で約28万円、私立大学で約26万円となる見通しです。
これまでも大学授業料の無償化制度はありましたが、所得制限が厳しく対象となる人は低所得者に限定されていました。今回の“多子世帯”に対する実質無償化は、所得制限がないのが最大の特徴です。「子どもに高等教育を与えたいが兄弟が多く、お金を準備できないかも……」と悩む世帯にとって、朗報といえるでしょう!
その他の施策
『育児休業給付金』の引き上げも2025年度から実施予定。具体的には、両親ともに14日以上の育児休業を取得した場合、28日間を上限に休業前の手取りで8割相当だったものが10割相当に引き上げられるというもの。さらに、2歳未満の子どもを養育する目的で時短勤務をした場合に、賃金の1割を給付する制度も設けられる見込みです。
このほか、2023年度からモデル事業をスタートした『子ども誰でも通園制度』ですが、2026年度から全国的な実施を目指しています。就労の有無にかかわらず、時間単位で生後6カ月から満3歳未満の未就園児を時間単位で保育所などに預けられる制度となっています。利用によってハードな育児期間中に、少しゆとりが生まれそうです。
以上、新たな子育て支援策についてご紹介しました。その時々で制度は見直されていくため、常に最新の情報をキャッチして上手に制度を活用してくださいね。
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文/八束和音(CFP認定者)
【画像・参考】PIXTA(ピクスタ):genzoh/zon/maroke/takeuchi masato/artswai/foly
こども未来戦略(リーフレット等)-こども家庭庁
※この記事は2024年4月に制作しています。最新の情報はウェブサイトとあわせてご確認ください。