KBS京都で放送中の『谷口流々』。
谷口キヨコが、京都を中心に活躍する人々の仕事現場に足を運び、十人十色の人生哲学を紐解いていきます。
2023年4月29日(土)の放送では、ソーシャルワーカー・秋保行宏さんに話を伺いました。
Profile:ソーシャルワーカー・秋保行宏さん
ソーシャルワーカー・秋保行宏さんは、社会福祉法人『!-style(エクスクラメーション・スタイル・キョウト)』の理事長。福祉とビジネスを掛け合わせたスタイルで障がい者の新たな就労訓練の可能性を広げています。
様々な活動を通して、障がいのある方の仕事の力を発信したり、働くことを支えたりしています。
例えば、デザイン性のある生活の中で使いたいと思ってもらえるような陶器づくりを支援しています。障がい者の方が作りやすい作り方も含めてサポートしているそうです。
様々な形、色合いのものがあり、カップなどもあります。
支援学校での経験
美術系の大学に通っていた秋保さん。大学で教職課程も学んでおり、卒業後は高等学校の講師をしながら制作をしていました。そして、支援学校という障がいのある方が通っている高等学校に短期間講師として赴任することになりました。
赴任するまでは、支援学校での教育は初めてだったので緊張や不安がとても強かったそうです。
しかし、赴任してみると想像と違い、様々な形でコミュニケーションがとれ、喜びや楽しみを言葉や言葉以外で感じることができました。
障がい者の方がいきなり会社の中で働くとなると学べないことがたくさんあるため、支援学校では模擬的に仕事場を作り出して学んでいくそうです。
それでもやはり就職が難しい方もたくさんいて、卒業後にさらにトレーニングを積む場所があるということもそこで知ったそうです。
陶芸の作業学習を行う中で、器が出来上がり形になった時にとても喜ぶ姿を見て、充実感を味わってもらえたことがわかりました。また、共に物作りをすること自体がプラスに働いていると秋保さんは感じました。
商品の価値
秋保さんは一生働く仕事を見つめ直したいと思った時に、働くことに喜びを感じる方がたくさんいたことを思い出したそうです。
そこで、6~7人のグループを支援する仕事を始めました。働き出した当時、福祉バザーがいろんな会場で行われており、そこを中心に販売していました。
福祉バザーでの販売の仕方が「障がいのある方が作りました。買ってください。」という打ち出し方になっていて、「もっとみんなの力を発揮できる方法はないか」と秋保さんは考えました。
当時は、障がいのある方が作ったものが、普通にお店に仕入れられ、店頭に並んでるということがなかったそうです。
そこに着目し、まず作ったものをブランド化することに注力しました。障がいのある方の手作りの商品を規格化し、ブランドロゴを作り、カタログを制作。雑貨屋さんなどに営業していきました。
手作り市などに出店したり、知り合いを通じて雑貨店に置いてもらったりすることから始め、2007年に就労支援事業所『!-factory(エクスクラメーション・ファクトリー)』をオープンしました。
福祉×ビジネスの可能性
陶器のほかに、2年目頃から食品の加工も始めました。飲食店向けに下調理を行ったり、完成品を作ったりするセントラルキッチン事業を行っています。
今は、クラフトビールの企業と麦芽カスの再利用プロジェクトを有志の方が集まって始めています。
「障がいのある方の仕事にできればよりいいよね」ということで、麦芽カスを乾燥したり粉末にしたりして、商品にしていくことを進めている真っ最中だそうです。
秋保さんを表すことば
法人を立ち上げてから、やりたいことをいろんな方に話してきたことで、共感したり、興味を持ってくれる方に出会い、事業について提案をもらうことも出てきました。これからの可能性について、周囲を巻き込んで考えていっているそうです。
今回の“秋保さんを表すことば”は 「もっとはみでる」。従来の考え方からどんどんはみ出て、たくさんの新しいことを進めていく姿を表しています。
障がいのある方の持つ力を最大限に発揮できる環境づくりを進める社会福祉法人『!-style(エクスクラメーション・スタイル・キョウト)』。今後の活動に期待が膨らみますね!
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文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】谷口流々(毎週土曜日9:30~10:00) – KBS京都
※この記事は、2023年4月29日(土)放送時点の情報です。最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。