KBS京都で放送中の『京都浪漫~悠久の物語~』。
今回は、2023年6月11日(日)に放送された『鴨川歴史探訪~仲源寺・檀王法林寺・志明院』を、全3回に分けてご紹介します。
鴨川歴史探訪~仲源寺・檀王法林寺・志明院
鴨川?賀茂川?“かもがわ”の表記について
京都市北区の桟敷ヶ岳(さじきがたけ)を源流とし、市街地南部で桂川に注ぎ込む鴨川。
高野川との合流地点より北を“賀茂川”、南を“鴨川”と表記するのが一般的です。
ただし、河川法では全流域が “鴨川”とされています。
鴨川源流を守ってきた「志明院」とはどんなお寺?
そんな鴨川の源流を守ってきたお寺が『志明院』です。白雉元年(650年)役行者が草創し、天長6年(829年)弘法大師空海が再興したと伝わります。
志明院までは、地下鉄 『北大路駅』より1日2本の『雲ヶ畑バス(もくもく号)』に乗りおよそ30分。バス停『雲ヶ畑岩屋橋』下車徒歩およそ20分です。
撮影時、山内には4月下旬に見頃を迎えるシャクナゲが咲き誇っていました。株自体が1番大きいもので約150年も生きていると言われています。
シャクナゲの向こうに見えるのが、室町時代に再建したとされる楼門。
山号の『岩屋山』 と書かれた楼門の扁額は、平安時代、小野道風の作といわれている由緒あるものです。
志明院は淳和天皇の勅願により空海が創建したという歴史があります。本堂に菊の御紋が掲げられているのはそのためです。
志明院のご本尊は、完全秘仏の不動明王。こちらも空海の勅願によって彫られたと伝わる非常に由緒ある仏像です。
「鴨川の最初の一滴」が湧き出る洞窟
こちらは、志明院の鴨川源流信仰のシンボルになっている『飛龍の滝』。
龍神をお祀りしている滝です。
さらに険しい石段を登って行った先にあるのが『根本中院』。
その隣に、信仰上“鴨川の最初の一滴”とされる霊水が湧き出す『神降窟』があります。
平安時代、皇室は鴨川の源流であるこの洞窟の湧き水を重視し、水神を祀り清浄な鴨川の御用水を祈願したと伝えられています。
せせらぎの水音が心地よく響き渡り、澄み切った空気に満ちた志明院の山内で毎朝汲まれているのが『閼伽水(あかすい)』です。
大変清らかで、仏教上無垢な水として重んじられている『閼伽水』。その朝一番の清らかな水を、本尊の不動明王にお供えする勤行が続けられています。
「もののけ姫」制作のヒントにもなった志明院
歴史小説『空海の風景』の作者、司馬遼太郎は昭和23年の夏に志明院を訪れています。その時に、不思議な体験をしています。司馬遼太郎が執筆していた小屋の中にいると、三方の障子ががたがたと揺れ、屋根の上から大きな音が聞こえるという“もののけ体験”をしたそうです。
そのときの不思議な体験を宮崎駿監督に話したことが『もののけ姫』の生まれるヒントになったと言われているそうです。豊かな自然と共存している志明院ならではの逸話です。
鴨川は今も昔も変わらず多くの人に愛され親しまれてきました。京都のシンボルと言っても過言ではない、様々な歴史・文化を守ってきた鴨川を訪れ、その歴史・文化に思いを馳せるとまた違った鴨川の姿が見えてくるかもしれません。是非、皆さんも鴨川に足を運んでみてください。
文/中村ゆか
【画像・参考】京都浪漫~悠久の物語~(第1・2週 日曜日 21:00~21:55/再放送 第3・4週 日曜日 21:00~21:55) – KBS京都
※この記事は、2023年6月11日(日)放送時点の情報です。