KBS京都で放送中の『京都浪漫~悠久の物語~』。
今回は、2023年11月12日(日)に放送された『建仁寺と塔頭寺院の紅葉と名宝』から『建仁寺』をご紹介します。
京都最古の禅寺「建仁寺」
![建仁寺](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/be993c959f2d75b74bc67729351c0ca1.jpg)
観光客で賑わう京都の中でも多くの人が訪れるスポットの一つが東山エリアです。四条通から石畳が美しい花見小路通を南へ下ると、京都最古の禅寺・建仁寺の北門に到着します。
![「建仁寺」交通アクセス](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/e64ac31a084dd3ee1a82a578ba0b9db5.jpg)
建仁寺の北門までは、京阪電車『祇園四条』駅から徒歩およそ7分。市バスの『東山安井』のバス停から徒歩およそ5分です。
![栄西禅師](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/a038781f62cb5b2d182f045119cf8a08.jpg)
建仁寺の開山は栄西禅師(ようさいぜんじ)です。一般には「えいさい」と読まれていますが、建仁寺では「ようさい」と呼んでいるそうです。
![三宗兼学](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/c4e3b69775cfbbd20c5f3f525b0fc78c.jpg)
中国から日本に初めて禅宗を伝えた栄西禅師は、鎌倉幕府2代将軍・源頼家の庇護のもと、建仁2年(1202年)、天台・密教・禅の“三宗兼学”の道場を創建し、その時の年号をとって建仁寺としました。
![建仁寺境内](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/e4d5c274f4679bc29affdacbd3591ae5.jpg)
明治維新の廃仏毀釈で塔頭寺院の統廃合が行われ、余った土地を明治政府に上納し、境内が半分近くに縮小され、今に至っています。
![建仁寺_本坊](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/7f29db48b1dac7e16374d22b613922a2.jpg)
長い歴史の中で戦火や大火に遭いながら、修行僧たちによって懸命に守られた寺宝が伝えられてきた建仁寺には見どころが多くあります。
国宝「風神雷神図屏風」
![風神雷神図屏風](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/badb3d0b09820299888a1af28b829ca3.jpg)
建仁寺の見どころの一つが国宝『風神雷神図屏風』です。置かれているものは複製になりますが、作品が纏う威厳がリアルに伝わってきます。
![風神雷神図屏風](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/6e0a5032eab6d67455f1937776b7a55f.jpg)
有名なこの屏風にはいくつもの見どころがあります。その一つが雷神さまの体の作りです。人間には再現できないポーズをとっていることにお気づきでしょうか?
![風神雷神図屏風_アップ](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/184acaef8e7128f562a8734e72b05556.jpg)
「雷神さまの左腕の部分を近くで見てみると、“手の甲”が描かれています。本来描かれなければならないのは、手のひらと指のはず。つまり、雷神さまの腕は両方右腕として描かれているのです。一説によると、神様を描くときに人間と同じ姿では良くないと思われてこの表現になったと言われています」と、建仁寺の内務部長・浅野俊道さんは話します。
![風神雷神図屏風](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/1e5698e9eaed0653a751671ac7c8f61a.jpg)
この『風神雷神図屏風』の複製は2021年に奉納されました。
天井に描かれた2匹の龍
![建仁寺_法堂](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/4a4e3690b68aaa0b356a3c194464adfa.jpg)
建仁寺で伽藍の中心をなすのが法堂です。法堂は、明和2年(1765年)に建立し天文21年(1552年)に火災で焼失した仏殿も兼ねた建物です。
![拈華堂](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/da580bd7a37f1f229fca6918ef8d8284.jpg)
法堂は、拈華堂(ねんげどう)とも呼ばれてきました。
“拈華”とは、華を拈ること。弟子たちを前に釈迦が説法をしたとき、黙って蓮の華を拈ってみせたところ、弟子のうち1人だけが釈迦のいわんとするところを理解し、微笑んだ、という故事から、言葉にしなくとも以心伝心で心が通じ合うことを“拈華微笑(ねんげみしょう)”と言うそうです。
法堂もまた、禅師と弟子の以心伝心の場となっていることが拈華堂の意味するところです。
![浅野俊道さん](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/5256f7309fb0969561394e8d7677fdb0.jpg)
浅野さんに法堂の内部を案内していただきました。
![釈迦如来坐像](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/bded880c80423ffbbaa759e7be26aa44.jpg)
法堂は仏殿を兼用しているため、本尊をお祀りしています。中央に安置されているのが本尊・釈迦如来坐像。その両脇が釈迦の十大弟子の2人である阿難尊者像と迦葉尊者像です。
![双龍図](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/3e86e4909a994764ecf1a6a519207621.jpg)
法堂の天井には2匹の龍が描かれた『双龍図』があります。
建仁寺創建800年を記念し、日本画家の小泉淳作画伯がおよそ2年の歳月をかけて描き、平成14年(2002年)に奉納されました。
![浅野俊道さん説明シーン](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/40b671c667230dd975508b806812d445.jpg)
浅野さんは、「“龍”というのは仏法を守護する霊獣のような存在。さらに龍は水をつかさどると言われています。日本のお寺は木造建築が多く、1番怖い火災から守っていただけますように。また、法堂は仏法を講義するお堂です。壇場で和尚さまが説法を説いたとき、天井の龍が“法の雨を降らし功徳を与える”といった意味で天井に描かれることが多いようです」と話します。
そして、この『双龍図』には見学するときに注目してもらいたいポイントがあるそうです。それは……、
![双龍図](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/9b168808ac28b7e913f057ba6dee7ac0.jpg)
「この龍は生きています。本当に生きているわけではないのですが、少しだけ動いたように見えます」と浅野さん。
右側の口を閉じている龍の目と鼻の間隔を見ながら入口の方までゆっくり進んでいきます。すると、目と鼻の間隔が少しずつ短くなってくるような気がします。龍の顔そのものが振り向いて追いかけてきているように見えるそうです。
みなさんも実際にご覧になって確かめてみてはいかがでしょうか。
武士が描いた龍の襖絵
![方丈](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/b6dcf79b8b21cccc5171be0d410bd4cd.jpg)
法堂の天井画『双龍図』以外にも、『方丈』に有名な龍の絵があります。
![雲龍図](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/318a2e8a636e8956eefc12f0631d0db6.jpg)
来客を最初に通す『礼の間』。その襖に描かれている『雲龍図』です。
筆を執ったのは豊臣政権下で活躍した絵師・海北友松(かいほうゆうしょう)で、複製したものが展示されています。海北友松は武士でありながら狩野派に入門を許されるほど絵の才能に恵まれていました。
![雲龍図アップ](https://kyotokurasu.jp/uploads/2024/01/9535237effcf4b8b6f29293fc259d712.jpg)
死と隣り合わせの時代の中で生きた海北友松の、研ぎ澄まされた感覚が荒っぽさや激しさ、そして勢いが作品に感じられます。ぜひ、ご自身の目で確かめてみてはいかがでしょうか。
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文/西門
【画像・参考】京都浪漫~悠久の物語~(第1・2週 日曜日 21:00~21:55/再放送 第3・4週 日曜日 21:00~21:55) – KBS京都
※この記事は2023年11月12日(日)放送時点の情報です。