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9月見頃!京都府立植物園 PLANTS WONDER WORLD【きょうとくらすコラム】

2024年で開園100周年を迎えた京都府立植物園。
日本で最初の公立の植物園として誕生して以来、府民に親しまれ、歴史を重ねてきました。四季折々の草花の栽培はもちろん、希少な植物の保全にも力を入れています。
このコラムでは、植物の専門家である戸部園長に季節ごとの見どころやユニークな植物の生態を教えてもらいます。物言わぬ植物から学ぶことはたくさん!緑に癒され、潤いある暮らしのヒントも見つけてくださいね。

9月が見頃の植物たち

画像:京都府立植物園

植物園内に7月から9月までずっと咲いている真っ赤な花をつけた植物があります。
春にチューリップが植えられていた球根ガーデンに、次の球根の植え付けるまでの間を空き地にしておくには寂しいと花壇係が植えてくれました。

原産地南米ブラジルのリオ・デジャネイロに近い大西洋に面した高山では、標高2000~3000メートルの湿潤な熱帯域に生息しています。赤い花の中の蜜を吸うためにハチドリが飛び回る様子が目に見えるようです。
属名Salviaはラテン語Salvo由来で、その意味は「こんにちは」、種小名splendensは明るく光り輝く様子を表しています。

画像:京都府立植物園

サルビアは、シソ科アキギリ属の1種ですが、ふつうその栽培種をさします。
アキギリ属の花は、他のシソ科の花と同様に左右相称で横向きに咲きます。シソ科の花は、基本的に5数性で、萼片5枚,花弁5枚,雄しべ5本、雌しべ1本(2心皮)から成っています。

画像:京都府立植物園

サルビアの花では、萼片も花弁も赤く、それぞれ合着して筒状になっています。特に花弁がつくる花筒は長さが3センチにも達しています。

画像:京都府立植物園
(サルビアの花式図)

花筒の先端から、柱頭が2つに裂けた雌しべと2本の雄しべ(3本は退化して消失)が見えます。花式図には、それら全体の配置を示しました。2本の雄しべは花の左右に1本ずつ配置しています。しかも外見と違って、サルビアの雄しべは他の花の雄しべとはだいぶ違います。

画像:京都府立植物園

雄しべの先端には、花粉をつくる葯(やく)があり、葯を支える花糸(柄)が結合組織でつながっています。ふつう結合組織はごく僅かの組織量ですが、サルビアでは結合組織が前後に10ミリ程度棒状に長く伸びています。その結果、葯を載せた棒状部分が花の手前に、他方の棒状部分が花の奥に配置し、花糸の先端を中心にまるで雄しべのシーソーになっています。

画像:京都府立植物園

ハチドリが訪花すると吸蜜のために頭部を花の奥へ突き入れます。すると奥の方へ伸びた棒状の結合組織を頭部で押し上げることになり、シーソーの反対側にある葯をつけた棒状結合組織が下がります。これにより、ハチドリの頭部後方に花粉が付着するという仕掛けです。すごいと思いませんか?
アキギリ属は、世界に1049種知られています。生態園にアキノタムラソウやミツデコトジソウなど、北山門に近いワイルド・ガーデンには外国産の種も数種植えられています。

戸部 博 京都府立植物園 園長

1948年青森生まれ。東北大学理学部卒業。千葉大学理学部助手、京都大学理学研究科教授など39年間大学につとめる。その後、日本植物分類学会長、日本植物学会会長などをつとめ、2018年4月1日より京都府立植物園の園長に就任。自らの主導により植物や植物多様性保全、京都府立植物園に関する研究を専門家によって一般の方に分かりやすく伝えるサイエンスレクチャーを2023年より植物園にて開始。

文/戸部 博

【画像】京都府立植物園