KBS京都で放送中の『谷口流々』。
谷口キヨコが、京都を中心に活躍する人々の仕事現場に足を運び、十人十色の人生哲学を紐解いていきます。
2023年6月17日(土)の放送では、洋食料理店店主・浅井幸雄さんに話を伺いました。
Profile:洋食料理店店主・浅井幸雄さん
浅井幸雄さんは下鴨神社のそばで『洋食とワインのお店 浅井食堂』を営んでいます。気さくで、ほっとできて、誰にとってもごちそうになる料理は、幅広い世代から支持されています。
自慢のハンバーグ
看板メニューの『浅井食堂ハンバーグ』。鉄板の上にハンバーグをのせ、デミグラスソースがたっぷりとかかった一番人気のメニューです。一番の特徴は“玉ねぎが入っていないハンバーグ”という点で、一般的なレシピと比べるとかなり少なく、9割程度がお肉で出来ています。
断面を見ると、その特徴がより一層感じられます。こだわりのソースにしっかりつけていただくと、肉感がとっても強くて“美味しいデミグラスソースの肉爆弾“のようです。
漫画から料理の世界へ
思い返すと、小学4年生の時に『美味しんぼ』という漫画に出会い、その1冊を何度も何度も読んでいたことがきっかけとなり、この道に進んだと話す浅井さん。
高校を卒業した後は、調理師専門学校に入学しました。ちょうど“イタ飯”がブームで続いていた頃で、浅井さんはイタリアンを身近に感じていました。
専門学校に通いながらアルバイトとして修業していたお店で、卒業後はどうするのかという話になりそのまま洋食店に就職が決まり、修行が本格的に始まりました。
最初の1・2年は下積みをしていましたが、2・3年務めた頃に比較的早い段階でシェフになりました。目に見えている部分以外のことがシェフになり見えてきたことで、シェフとして一通りは分かってはいても、自分ができることは思っていたよりも少ないことに浅井さんは当時悩みました。
浅井さんは悶々とした悩みをバイブル本『美味しんぼ』と共に乗り越えていきました。自分の悩みを漫画の中の描写に重ね合わせ漫画をヒントに、相談できる人から助言をもらうなど一つひとつ乗り越えていきました。
経営の目線
「26歳の頃、これまで辛かったのが徐々に楽になっていって、それには周りのスタッフの協力がないとダメだということがしっかりと固まっていた時期に転機が訪れた」と話す浅井さん。
次にどうお店や自分たちを成長させるかという視点になっていた頃に、休暇でハワイに行きました。その時にたまたまスターバックスの社長がいて、話を横で聞くことができたそうです。その経験が何よりも刺激となり、浅井さんはシェフだけでなくビジネスマンの視点になっていきました。
例えば、オープン前の仕込みを自分1人で行うのではなく、他の方々に分担してもらい本来自分がやらなきゃいけない仕事を削減するなど、自分のお店で責任者として何かすぐ形にできることがあれば一つずつ試してみようと考えるようになりました。そうすることで飲食業に携わる人の雇用を増やすことにも繋がりました。
独立のきっかけは30歳の時にソムリエの資格の勉強を始めたこと。資格を取るのであれば資格を存分に生かした仕事にしたいので今勤めているお店ではなく自分のお店で試してみたいと考え35歳で独立しました。そして今、『洋食とワインのお店 浅井食堂』は9年目を迎えるそうです。
浅井さんを表すことば
これまで先々のことを考え実行に移してきたからこそ、今、この洋食料理店で思い描いていたお客さんとの距離感でやれていると浅井さんは話します。
今回の“浅井さんを表すことば”は『SDGsハンバーグ』です。働き続けること、地域に住み続けること、おいしいものを食べ続けられるということは実は困難で、そしてとても大切なことです。浅井さんの話の中に、そのヒントがあるのかもしれません。
みなさんもぜひ、『洋食とワインのお店 浅井食堂』を訪れて、浅井さんのこれまでの経験から生まれたハンバーグを味わってみてくださいね。
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文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】谷口流々(毎週土曜日9:30~10:00) – KBS京都
※この記事は、2023年6月17日(土)放送時点の情報です。最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。