KBS京都で放送中の『京都浪漫~悠久の物語~』。
今回は、2023年5月7日(日)に放送された、洛北屈指の名刹『曼殊院門跡』を、5回に分けてご紹介します。
150年ぶりに宸殿が再建された『曼殊院門跡』について、天台仏教や神仏習合そして宮廷文化を伝える宝物までたっぷりとお伝えします。
150年ぶりに宸殿が復活!洛北を代表する名刹「曼殊院門跡」
「曼殊院門跡」と「北野天満宮」の関係
第1話でもあげられたように、『曼殊院門跡』には、菅原道真公を祭る天満宮があります。『曼殊院門跡』と『北野天満宮』の関係について、今回は紐解いていきます。
『北野天満宮』は市バス『北野天満宮前』で下車し徒歩すぐ、または京福電鉄『北野白梅町駅』で下車し徒歩約5分のところにあります。
『北野天満宮』は菅原道真公を祭神として祀る全国約12,000社ある天満宮の総本社です。菅原道真公は優れた才能の持ち主で学者出身の政治家として、卓越した手腕を発揮。異例の出世を重ね右大臣になりました。
しかし、左大臣・藤原時平の策略により太宰府に左遷され、最期を迎えます。
その後、菅原道真公は怨霊となり、天皇や貴族らを震撼させました。菅原道真公の御霊を鎮めるため、神として祀ったのが北野天満宮の始まりです。
菅原道真公が生前に師と仰いだ延暦寺の高僧は、道真公の怨念を鎮める力を持っていたといわれています。
ほかにも『比叡山延暦寺』には『北野天満宮』と関わりのある僧の存在があります。天暦元年の947年創建時、曼殊院の初代門主・是算国師が北野天満宮の別当職を兼務。是算国師は菅原家の出身であったこともあり、曼殊院の門主が北野天満宮の別当職を兼務することが慣例となり、約900年間続きました。
別当職は北野天満宮の統括をしていました。当時は神事や祭典行事を司る社家の一族(松梅院・徳勝院・妙蔵院)や、北野天満宮に奉仕する宮仕(みやじ)と呼ばれる方々の統治をしていたそうです。
実務には曼殊院から派遣された目代と呼ばれる代理人があたっていました。曼殊院の目の代わりとなり管理・監督に励んでいました。
当時の北野天満宮は神仏習合の中で一大組織を形成し、社務にあたっていました。
創建当時から延暦寺の管理下にあった北野天満宮。明治維新で新政府による神仏分離が図られるまで、神社と寺院が一体となって神と仏の双方を崇めていました。
北野天満宮の創建時の灯明には比叡山延暦寺の不滅の法灯が使われたと言われています。
創建当時には、神と仏が一緒になって行われた祭司『北野御霊会』がありました。菅原道真公の御霊を鎮めて世の平安を祈る儀式です。『北野天満宮』の神事の中で最も重要なお祭り『北野祭』の一部として行われていました。
令和2年9月に『北野御霊会』が、応仁の乱によって途絶えて以来550年ぶりに執り行われました。神仏習合の形を取りながら今後も続けていこうと再興しているところだそうです。
神仏習合の歴史は古く、「仏様と神様を一緒にお祈りできたことは人生最高の感動だった」と宮司は言います。 神と仏が共に世界平和と国家の安穏を祈ります。長く続いてほしい行事です。
続いては、“~第3話~書院を拝見。桂離宮との関係”についてご紹介します。
文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】京都浪漫~悠久の物語~(第1・2週 日曜日 21:00~21:55/再放送 第3・4週 日曜日 21:00~21:55) – KBS京都
※この記事は、2023年5月7日(日)放送時点の情報です。