KBS京都で放送中の『京都浪漫~悠久の物語~』。
今回は、2023年5月7日(日)に放送された、洛北屈指の名刹『曼殊院門跡』を、全5回に分けてご紹介します。
150年ぶりに宸殿が再建された『曼殊院門跡』について、天台仏教や神仏習合そして宮廷文化を伝える宝物までたっぷりとお伝えします。
150年ぶりに宸殿が復活!洛北を代表する名刹「曼殊院門跡」
書院を拝見。桂離宮との関係
『曼殊院門跡』は江戸時代の初めに現在の場所に移されました。建物や庭園には当時の門主・良尚法親王の創意工夫が込められています。
勅使門から見えるのは大玄関。勅使など高貴な人の出入り口です。
竹の間の壁紙は日本で最初の木版画です。
虎の間の襖絵『竹虎図』は狩野永徳の筆と伝えられています。
孔雀の間の襖絵は 江戸時代後期の岸駒作です。
大玄関を抜けると、寺院の台所である上之台所があります。高貴な方のための厨房です 。曼殊院が建立した際に京都御所から大勢の賓客を迎えたといわれています。
曼殊院の建物や庭園は、大書院の様子から『小さな桂離宮』と呼ばれています。
数寄屋風書院造の大書院は、現在の地に移った時に建立されました。こけら葺きの丸みを帯びたむくり屋根が優しさを感じさせます。
大津壁と呼ばれる赤い壁が庭の木々によく映えています。
名建築として名高い桂離宮を開いた八条宮智仁親王を父に持つ良尚法親王は、桂離宮を最終的に完成させた兄からも多大な影響を受けたと言われています。
感性や美を継承した良尚法親王が建てた『曼殊院門跡』は、桂離宮との共通点が多くあります。襖の取っ手や釘隠しなどは金工師・嘉長が作りました。豊臣秀吉に見出され小堀遠州に大変重用された人物で、桂離宮の金具も作っています。
字を崩したデザインの欄間も桂離宮と通じるものがあるそうです。
大書院から雁行して建てられている小書院の廊下につけられた手すりは、奥に行くほど低くなっています。建物を広く見せる工夫なのだそうです。
富士の間は七宝焼きの富士の釘隠しがあることから名付けられました。色使いや雲の形が一つ一つ異なる富士山が見られます。
奥に続く部屋との仕切りには菊の花をかたどった欄間があります。
黄昏の間は良尚法親王が日常生活を送る空間。曼殊院門跡の中で最高の格式を誇る部屋です。
およそ10種類の寄木で作られている曼殊院棚は、桂離宮の桂棚とともに名作とされています。
続いては、“~~第4話~枯山水庭園と宸殿再建までの道のり”についてご紹介します。
文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】京都浪漫~悠久の物語~(第1・2週 日曜日 21:00~21:55/再放送 第3・4週 日曜日 21:00~21:55) – KBS京都
※この記事は、2023年5月7日(日)放送時点の情報です。